虐待かなと思ったら… 189 虐待かなと思ったら… 189

トップ > 全国ネットのお知らせ・活動 > 児童虐待防止法施行20年を迎えて

児童虐待防止法施行20年を迎えて

2020.11.20お知らせ

児童虐待防止法施行20年を迎えて

 11月20日、児童虐待防止法が施行されてから20年が経過しました。
この間、虐待の定義や強制立ち入り制度の創設、親権制限制度の改正等々、さまざまな法改正がなされ、児童虐待への介入面での強化が図られてきました。また、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちわ赤ちゃん事業)や養育支援訪問事業、ひとり親家庭への支援や貧困対策、子育て世代包括支援センター等の子育て支援による虐待防止策のほか、母子保健施策の強化による予防の仕組みや社会的養護の充実も図られて来ました。
 しかし、児童相談所による虐待相談対応件数は約20万件に達し、重大な虐待事件や親子心中ケースは後を絶ちません。
 これからは、制度の充実とならんで、それを支える児童福祉関係者の増員や対応力の向上といった人材面の充実、一時保護所や児童福祉施設の整備、里親家庭で暮らす子どもたちへの支援など環境面での整備がさらに必要になります。
 そして、もっとも重要なのは、2016年の改正児童福祉法1条に明記された「子どもの権利」を具体的・実質的に保障することです。「子どもを中心に据えて」子ども虐待防止制度を確立し、「子どもの最善の利益」を実現するよう、国・自治体はもちろん、企業、地域社会、そして「市民一人ひとり」が協力して、「子どもたち一人ひとりのすこやかな成長と子どもたちの明るい未来」を保障する決意を新たにする必要があります。一日も早く「子ども虐待のない社会」を実現させましょう。

  
令和2年11月20日
認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク 理事長 吉田恒雄